三次創作

細野さん(id:hhosono)のところで、文芸フリマのレポートが上がっていました。*1当日に至るまでの本作りであるとか、その近辺でのはてなのこととかもあったりして、面白く読む。
その中で触れられていた三次創作の話題が個人的には烈しく気になるんですが、

id:cherry-3dが「細野さんは「パロディ同人誌のパロディ同人誌はあり得ない」といったけど、ぼくは三次創作の可能性ってあると思うんですよ!」などと言い出して、急遽、場が盛り上がる。話の流れとしては皆でid:cherry-3dを論破、というかid:hitomisiriingの「オリジナル信仰を打破したいとか云ってるけど、オリジナル/コピー/シミュラークルという概念区分から考えると、id:cherry-3d君の考えは、作家性を強化するものでしかないと思うんだけど」という非常にクリティカルな指摘とid:saCLAの「id:cherry-3d君の身振りは否認だよね」のダブルコンボでid:cherry-3dがあえなく轟沈。面白過ぎ(笑)。

えー、どういう感じだったのか、その辺が烈しく気になります。「オリジナル/コピー/シミュラークルという概念区分」とか「作家性を強化するものでしかない」とかで想像するしかないってことだと思うんですが……むー、気になるー。
私は記号論とか現象学とかは、現代芸術全般を分析・理解するうえでは必要な知識だと思うんですが、その辺がきちんと押さえられずこの歳まできてしまっておりまして、非常に反省するわけです。学生の頃にきちんとその辺りをやっておけばよかったなぁと。それは時間的な問題でもあると同時に、意見を頻繁に交換できる場が提供されているからだと感じる。記号論的分析はあらゆる現象に対して行うことの出来るものだから、そのアプローチについてはどんなところでも話題には出来るのかもしれないけれど、やはり日常的にはそんなシチュエーションなんてほぼ皆無。だからそんな風に話している場を見たりすると、安心したり、羨ましかったりもする。別にそこには参加できるんだろうから良きゃあいいだろ? ということについては、私は非常にシャイなので……*2ということと、後はその場で何らかの決着がつかないと非常にすっきりしない気分になるのだけど自分はもとよりすっきりと考えが纏まらないという中途半端な考えに腹が立つというか。身内とディスカッションする際には纏め上げるために色々話が出来るのに、あまり知らない人たちとその手の話題(つまり自分の中では非常にパーソナリティに係わる部分の問題)についてある程度の材料がない限り踏み込めないと思っている部分が強いというわけです。だから、そうやって盛り上がっているに混ざっている(当然その方が楽しいが)のと同じように、もしくはその代わりとして、それを見ているのが非常に楽しいわけです。

以前の日記(id:keigo2001:20031016)で触れた、オタクあたり空間のセクシャリティについても、どうも自分の中でうまく考えが纏まらずふよふよしているわけですが、この話題についてもう少し自分でまとめようとすると、ジェンダー論(フェミニズムやその周辺の活動、またゲイフォビアなど)について考え直さなければならず、そしてその話題はかつん*3と詰めるのが面白いんじゃないか、彼女のほうがジェンダー辺りには強いんじゃないかという思いがありまして、じゃあそのときにこの手の話題を振ってみようと思っていたわけであります。
んで、今、なんとなく断片的に思っているのは、セクシャリティへのカウンターとして「やおい」が発生・成長していったのは既に前のことで、若い読者層(つまり今の小・中・高校生ぐらい)は単純に既存のメディア(もしくは社会)としての同人誌において、女性の書き手は男性キャラクタに萌えを感じた場合はゲイとして扱うというのがメソッドというかクリシェというか、ともかくそうすべきだということで刷り込まれているだけなんではないかと思う部分があって、そのあたりがうまくまとめられないんですが……近年の少女漫画誌におけるセックス表現やインモラルとされていたものを表に持ってくる方向(少女漫画誌で兄妹のセックスという表現は以前ならばなかったものだと思います)が背景にあるんじゃないかと。「JUNE」から「やおい」に移り、それが大きくなってきたけれど、今はその次の「エロ」になっているんじゃないかと。つまり女性同人誌愛好家(ヤオイオタクなどと呼ばれることのある層)にとってセクシャリティ・ジェンダーへのカウンターとしての同性愛表現は既に不要で、そこにあるのは既存のメソッドで安易に展開されるためのホモセックスであるか、エロ表現に於いてインモラルな雰囲気としての表現に移行しているんじゃないかと思うわけです。当然、前者の方が割合的には大多数だと思いますが。(ホモセックス表現では既にインモラルと感じることは難しいほど、女性向け同人誌界隈では標準化されていることなんだと思います。しかしそれはセクシャル・ファンタジーでしかないことについても自覚的で、そういう意味でAlice Blueの「楽園行」http://blue.alicesoft.co.jp/soft/rakuen/と、それを消費した層の反応は面白かったです)

んー…やはりまとまらないなぁ。と、この辺りをなんとなく思っているんですが、うまく文章として纏まらなかったり、考え自体がグラグラしているのでアップしなかったんですが、それ自体をきっと忘れてしまうので書いておくことにします。つまりリマインダ。長ーッ!

*1:id:hhosono:20031114

*2:「そんなことを言うのはこの口か? この口なのかー?!」という突っ込みはノーサンキュ。「エーイこの恥ずかしがりやさんメッ」というところにしておいてください。

*3:私の高校時代からの友人。本人は非オタクだが、オタク女性との人付き合いについて理解できない部分が多かったらしく悩んでいた時期があった。そしてまだ悩んでいるのかもしれない。